NCAJキャンプインストラクター/日本ブッシュクラフト協会 認定ブッシュクラフター/防災士など、アウトドアと防災の専門資格をもつ ゼロイチキャンプです。この記事は、筆者が監修し執筆まですべて行っています。
日本は地震や津波、火山、大雨、台風、土砂災害、雷、竜巻など、世界のなかでも災害が多い国です。
大きな災害が発生すると電気やガス、水道、交通、通信など、ライフラインが止まってしまい、わたしたちの生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
ライフラインが復旧するまでには、ある程度の時間を必要とします。また、災害の規模が大きくなればなるほど、復旧までの時間も多く必要です。

このような災害が起きたときに役立つことが、防災の備えです。


防災とは、災害が起きる前から被害をできるだけ安全に、回避するための事前計画や準備、行動することをいいます。
なかでも、キャンプやアウトドアが”防災に役立つ”として、とても注目されています。
しかし、キャンプが防災に役立つといっても、多くの方がどのような方法で、どのような物が、どのように役立つか、わからないのではないでしょうか。



実際にキャンプやアウトドアの知識と技術であったり、テントやシングルバーナーなど、キャンプギアなどは災害時に使われたりします。


上の写真にあるように、筆者は防災士とキャンプインストラクターの専門資格を持っています。
そこで、今回のゼロイチキャンプは『防災×キャンプ』と題して、防災に役立つキャンプの知識や技術、キャンプギアを筆者が監修し完全解説します。
防災対策を準備していた人と、防災対策の準備をしていなかった人では、災害時に大きな差となってしまうことがあります。
キャンプやアウトドアをとおして、総合的なサバイバル力であったり、自助力(自分の命は自分で守る)を一緒に身につけていきましょう。
この記事を読んでわかること、役立つ情報とは。
- 防災に役立つキャンプの知識や道具を紹介します。
- 日本で起こる災害について、防災士が解説。
- 防災対策のメリットを解説します。
- キャンプがどのように防災の役に立つのか詳しく解説します。
- 防災士とキャンプインストラクターの資格を持つ、専門的な記事となっています。
下の記事では、ソロキャンプの始め方や必要なキャンプギア、ルールとマナーを、キャンプインストラクターであるゼロイチキャンプが監修し解説しています。


【防災士が教える】日本で起こる災害とは。


日本で起こる災害には地震をはじめとする津波、火山噴火、火災、風水害(台風、局地的大雨、集中豪雨、土砂災害、高潮など)、竜巻、豪雪など、さまざまなものがあります。
上記に紹介した災害のなかでも、日本は地震の多い国です。
大きな地震が発生すると被害も大きく、海溝型地震や津波地震によって、津波が起こることもあります。
この理由には、日本列島が太平洋プレートとフィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレートとよばれる4枚のプレートがひしめき合っている位置に、国土を形成していることが関係します。
さらに、日本の国土面積は地球上の陸地の400分の1ほどしかありませんが、日本列島周辺から吐き出される地震や火山噴火のエネルギーは、地球全体の10分の1に達していると言われています。



日本列島は、世界有数の変動帯に位置してます。そのため、いつ地震が発生してもおかしくない。
火山噴火


地震と関係する災害に、火山噴火があります。
大きな地震が発生したときには、火山噴火が起こることがあります。火山噴火が起こると溶岩流や火砕流、火山灰、土石流などの被害があります。
ただし、すべての山が火山活動しているわけではなく、活火山とよばれる火山にとくに注意が必要です。
活火山とは、今後も噴火活動をする可能性がある火山のことを指します。
日本には2025年6月現在、北方領土や海底火山を含めると111の活火山があります。



有名な活火山でいえば、富士山や桜島、御嶽山、浅間山、三宅島などがあります。
風水害


風水害とは、台風をはじめ局地的大雨、集中豪雨、土砂災害、高潮などがあります。
地球温暖化の影響で世界の平均気温は年々増加しています。
そのため、台風の発生率や勢力の強い台風によって、毎年のように大きな被害があります。


台風被害のひとつに、高潮があります。
高潮は気圧の低下や強風によって、海水面が高くなり高波を伴って陸地に押し上げてきます。高潮は海抜の低い地域や満潮時に、注意が必要です。
また、ゲリラ豪雨とよばれる局地的大雨であったり、線状降水帯ともよばれる集中豪雨による被害も年々増しています。



水害だけでなく、竜巻や突風にも注意が必要です。
土砂災害


台風や大雨が降ったときには、土砂災害が起こる危険があります。
土砂災害には、土石流や地すべり、がけ崩れなどがあり、発生を予測するのが難しい災害です。
日本列島は約7割が山地で、さらに地質はとても脆弱です。
そのため、台風や大雨によって地盤が緩むと土石流や地すべり、がけ崩れなどの土砂災害が発生することがあります。



土砂災害は、地震や火山活動によっても起こります。大雨や洪水、土砂災害を知らせる情報やアプリについては、後ほど詳しく解説します。
災害が発生すると、ライフラインが止まることがある。


先述したように、日本では多くの災害が起こる危険性があります。
災害は季節や時間を問わず、発生する可能性があることを認識しておくべきでしょう。
また、ひとたび大きな災害が発生すると電気やガス、水道、交通インフラ、支援物資の遅れなど、ライフラインが止まることがあります。
ライフラインが止まると、私たちの生活に多大な影響があります。
ふだん当たり前のように使っている電気やガス、水道、電車、飛行機、道路など、利用できなくなったとしたらどうでしょうか。



このような災害が起きるのを想定し、備えておくことが防災です。
防災について、現役の防災士が解説。


防災とは、先に解説した地震や津波、火山噴火、火災、風水害、竜巻・豪雪など、自然災害による被害をできるだけ安全に、回避するための事前準備や計画、行動のことをいいます。
先ほど解説したように、ライフラインが復旧するまでには、ある程度の時間を必要とします。災害の規模が大きくなればなるほど、復旧までの時間も多く必要です。
そのため、防災対策を準備していた人と、防災対策の準備をしていなかった人では、災害時に大きな差となってしまうでしょう。
よく「災害が起きてから対応すること=防災」と誤解されることがありますが、正しくは”災害が起きる前から、被害をできるだけ安全に回避するための事前準備や計画、行動”することを防災といいます。
筆者の周りにも防災の準備や計画、意識をしていない方を多くみかけます。
被災した後に「もっと備えておけばよかった」と後悔する方は多く、そのときでは遅いのが災害の怖さです。



災害が起こる前に備えたり計画したり、行動することが防災です。
防災は3つの柱で考えることが大切。


筆者が防災士の講習であったり、資格取得後に防災士して活動するにあたり、自助・共助・公助の3つの柱で考えて行動する大切さを学びました。
- 自助(じじょ):自分の命は自分で守る行動(備蓄、避難経路の確認、マイタイムラインの作成など)
- 共助(きょうじょ):地域や周囲と助け合う力(備蓄、避難所の運営、声かけ、安否確認、町内の協力など)
- 公助(こうじょ):行政や公共機関による支援(仮設住宅、救助、物資の供給など)


まずは、防災対策として自助(じじょ)に目を向けて計画し、準備して行動してみましょう。
今回のゼロイチキャンプのテーマである『キャンプ×防災』では、自助力を向上する目的があります。
キャンプやアウトドアをしている方は、自助の力=「自分で生き抜く力」を実践的に身につけているとも言えます。
キャンプと防災は一見別物のようですが、「不便な状況で、いかに安全で快適に過ごす知恵を育む」という点では、重なる部分がたくさんあります。
なかでも、キャンプの技術や知識、キャンプ道具はライフラインの止まっている状態で、とても役立ちます。



解説してきたとおり、災害はいつ起こるかわかりません。だからこそ、キャンプの経験を“もしもの備え”に活かしていきましょう。
下の記事では、キャンプや災害時にも便利なアウトドア用ノコギリを特集しています。アウトドア向けノコギリは折りたたみ式でコンパクトな仕様です。
キャンプの技術や知識、道具が防災に役立つと注目されている。


キャンプやアウトドアの技術、知識、キャンプ道具などが、災害時や防災に役立つと注目されています。
先述したように、日本は災害の多い国です。
日頃から防災の意識を持ち、備えることが大切です。
なかでも、災害が起きたときにはライフラインが止まることがあるので、最低でも72時間(3日分)の備蓄や防災対策をしましょう。
なぜ、72時間(3日間)かというと、ライフラインがある程度復旧したり、支援活動や支援物資が届いたり、正確な被害状況を把握できたりする目安といわれています。



ライフラインが復旧するまでには、時間が掛かります。防災対策しておくことで、慌てずに行動できるようになります。
災害が起きた場合の生活とは。ライフラインが止まり、避難所に行くこともある。


災害時や避難生活に役立つ防災対策として、キャンプやアウトドアが注目されています。
とくに、ライフラインが復旧するまでの期間の避難生活において、キャンプの技術や知識、キャンプギアはとても役立つことがあります。
考えてみてほしい、仮に震度6~7の地震が起きて自宅が倒壊、半壊した場合、多くの方が避難所で生活することになります。
自宅が無事だったとしても電気やガス、水道、通信、交通など、ライフラインが止まっていたらどうしますか。


また、避難所となる学校や体育館、公民館などに被災者全員が入所できるとは限りません。
避難所には入所できる人数がおおよそ決まっていて、要配慮者とよばれるお年寄りやこども、障害のある方、妊婦さん、乳幼児、外国人など、1人で避難できない方が優先されます。
お住まいの地域や人口、被災状況によって異なりますが、当然、人口が多いほど避難所に入所できない確率は上がります。
そこで、このような状況に注目されているのが、キャンプやアウトドアになります。



コロナや感染症対策として、避難所内は1人あたりのスペースを大きく確保する必要がある。これも避難所に入所できる人数を少なくする理由のひとつにあります。
避難場所と避難所の違いについて解説。
- 避難場所とは、災害が起きたときに一時的に非難する場所のことをいいます。避難場所には公園やグラウンド、高台、お寺など、さまざまな場所があります。また、災害の種類によって避難場所は異なります。例えば、地震と津波、火災では避難場所が異なるので、日頃からお住まいの地域の避難場所を確認しておきましょう。
- 避難所とは、災害によって自宅での生活ができなくなった人が、一定期間生活する場所のことをいいます。避難所には学校や公民館、仮設住宅などがあります。
防災対策として、キャンプやアウトドアが注目されている。


先に述べたケースのように、避難所に入所できなかった場合に、テントをつかって避難生活をすることがあります。
実際に、1995年の阪神淡路大震災であったり、2016年の熊本地震では多くの被災者が、テントで避難生活を余儀なくされました。
また、自宅で避難生活をする場合にも、キャンプ道具があれば灯りをつけたり、電気や水を確保したり、火を使って調理ができたり、周囲の人を助けたりするなど、防災に役立てることができます。


このようにキャンプの技術や知識、キャンプ道具は、災害時やライフラインのない状況下において、とても役に立ちます。
キャンプの経験が有ると無いとでは、災害時や緊急時に大きな差となります。
災害時には、公助とよばれる市町村や都道府県などの公的機関による支援があります。
もちろん災害時には公助に頼ることも大切ですが、キャンプやアウトドアをとおして「自分の身は自分で守る」という、自助の防災意識を日頃から身につけてはいかがでしょうか。
自助力が上がれば、おのずと周りの人を助け、協力できる共助(地域での助け合い)につながっていきます。



キャンプやアウトドアは、災害時や緊急時でも生き延びられる自信と技術、知識など、トータル的なサバイバル力を身につけられる。
【防災士がおすすめ】防災に役立つキャンプ道具を紹介。


防災士とキャンプインストラクターの資格をもつ筆者が、防災に役立つキャンプ道具を紹介します。
先に述べたように、災害時にはライフラインがある程度復旧するまでの期間を目安とした、防災対策が大切です。
また、避難所に入所できないことを想定し、シェルターや水、火、食料、情報の確保をベースに、キャンプ道具の構成を考えました。
防災対策でキャンプ道具を選ぶときには、災害が起きた瞬間に荷物をもって逃げれるように、すべての道具がリュックサック・バックパックひとつに入るように準備しましょう。
その理由は、バックパックひとつにキャンプ道具を収納できれば、両手を自由に使うことができます。
また、できるかぎり軽量でコンパクトなキャンプ道具を準備すれば、移動が快適になったり走ることができたり、体力を温存できたりするなど、多くのメリットがあります。


上の写真は、筆者がキャンプ道具を防災対策として、すべての防災道具をバックパックに収納したものです。
バックパックの総重量は、約4㎏程度となっています。
バックパックにキャンプ道具を収納するときは、道具の大きさや重量が大切なポイントです。
機能性を重視しつつ、できるだけ軽量でコンパクトなキャンプ道具選びが大事です。



平時とはちがい緊急避難をする場合は、できるだけ両手が使えて、走れるような荷物量がベスト。
防災に役立つキャンプ道具を紹介。
テント(軽量、ポップアップ)、タープ、ランタン、シングルバーナー、クッカー、ナイフ、火起こし道具、寝袋、浄水器、マット、カトラリー、ラジオ、ポータブル電源、ソーラーパネル、水、非常食、100均グッズ、バックパック、ウォーターバッグ、軍手(ダイソー)、ファーストエイドキット(救急セット)、紙とペン、アルコールティッシュ、ホイッスルなど
【防災士監修】災害時に役立つキャンプの知識とスキル(技術)を解説。


キャンプインストラクター/ブッシュクラフトインストラクターの資格を持つ筆者が、災害時に役立つキャンプの技術・知識を解説します。また、防災に役立つアプリやWEBサービスも紹介します。
先ほど紹介した防災に役立つキャンプ道具は、持っているだけでは意味がありません。
日頃から使ってみたり試してみたりすることで、災害時に慌てず安全に、積極的に使うことができます。
ここでは先ほど解説したように、災害時に避難所に入所できなかった場合を想定し、防災に役立つテクニックや知識を紹介します。



まずは、テントやシェルターの設営から始めて、水、火、食料、情報の確保などを実践していきます。
正しい情報を受けとり、適切な計画と行動をとる。


災害が起こる前であったり、起こったあとに適切な行動をとるためには、正しい情報を受けとることが大切です。
とくに、災害が発生したときは停電したり、電波に通信障害が起きたりします。正しく適切な情報を受けとれる準備をしましょう。
また、自分の住まいの地域のハザードマップを日頃から確認したり、災害時に備えて防災行動を計画したりすることも大切です。
災害が起きた後に、避難場所や避難所を調べたり、避難ルートを確認するようでは遅い。
自分の地域のハザード(危険のリスクや原因)を確認し、災害行動の手順を決めておきましょう。



行政や自治体などのHPやアプリを活用することも大切です。情報を持つことも、防災対策です。
携帯ラジオ


地震や災害が起きたときには、同時に停電が起こることがあります。
停電が起きると交流電源(AC)を必要とするテレビは役に立ちません。
とくに、地震が発生したときには、携帯電話の基地局も被災していることがあり、電波の届きにくい(通信障害)状態になります。
また、災害時には被災地に向けた安否確認や電話が集中する「輻輳(ふくそう)」とよばれる状態になります。
輻輳になると電話が繋がりにくく、インターネット通信も混雑し、アクセスしにくい状態になります。



多くの方が、災害時にスマホがあれば安心と思っていますが、そうではありません。


このように、災害時や停電、輻輳が起こったときでも、正しい情報を受けとれるアイテムが「ラジオ」です。
なかでも、筆者がおすすめするのは、上の写真にあるような小型の携帯ラジオです。
ラジオは電波(AM/FM)を受信するだけでよく、基地局や回線が不要なので、災害時でも安定した情報を受けとることが可能です。
災害時に正しい情報を受けとることができれば、安全で適切な行動をとることに繫がります。



ラジオはアナログかと思うかもしれませんが、防災士の講習でも極めて重要性の高い説明があるほど、重要な防災グッズです。
ハザードマップ:国土交通省


ハザードマップは災害が発生したときに、その区域にどのような影響があるのかということ、避難に関した情報をまとめた地図のことをいいます。
国土交通省は全国市町村が公表しているハザードマップのポータルサイトを公開しています。
洪水や土砂災害、津波、高潮、道路防災情報、土地の特徴など、地図や写真で地域ごとに確認できます。
キキクル:気象庁


キキクル(危険度分布)は気象庁が提供するWEBサービスで、大雨による災害発生危険度をリアルタイムで確認できます。
キキクルでは顕著な大雨や土砂災害、洪水などの危険度を地図上で5段階の色分けしているので、直感的に確認できます。
とくに、危険度レベル(5段階)を色分けされているので、非難するタイミングを判断する手助けになります。
テント・シェルターを設営してみよう。


先述したように、災害時では避難所に入所できる人数は限られています。そのため、災害の被害状況や人口などによって異なりますが、場合によっては避難所に入所できないことがあります。
避難所の入所には、要配慮者とよばれるお年寄りやこども、障害のある方、妊婦さん、乳幼児、外国人など、1人で避難できない方が優先されます。
防災対策として、テントや簡易的なシェルターを設営できるようにしておけば、一時的ではありますが災害時であっても体を休め、雨風を防ぐことができます。


災害時におけるテントのメリットには、プライベート空間を確保できることであったり、感染症対策であったり、アウトドア経験を活かせることがあげられます。
避難所では、1人あたりのスペースは区切られています。
パーテーションがある場合もありますが、大勢での避難生活で、プライベート空間を確保することは難しいことが現実です。
また、昨今では新型コロナウイルス感染症を代表するように、避難生活では感染症の問題も浮き彫りとなっています。



避難所ではお年寄りも多く、感染症による二次災害が問題となっています。


上の写真は、ポップアップテントやワンタッチテントとよばれる、簡易的なテントです。
ポップアップテントやワンタッチテントは、ポールでフレームを作ったりロープワークの必要がなかったりするので、アウトドア初心者にも簡単にテント設営ができます。



ポップアップテントは収納袋から取り出して、開くだけで設営できます。防災テントとしておすすめです。


災害時には自分の所有するテントを使うこともあれば、支援物資で支給されるテントを使う場合もあります。
テントといってもドームやワンポール、ツールーム、トンネル、パップテント、ロッジなど、さまざまな種類があります。
また、家族構成や使用者にあわせてテントサイズは異なりますので、日頃からキャンプやアウトドアでテントを設営しておくことが大切です。


上の写真は、筆者がタープの張り方をアレンジして、簡易的なシェルターを設営したものです。
タープは日よけや雨風を防ぐだけでなく、張り方を工夫することでシェルターのようにも使うことができます。
また、タープは軽量でコンパクトな仕様なので、携行性と収納性に優れることもメリットにあります。



ホームセンターなどで売られている、ブルーシートを代用することもできます。


ただし、タープはロープワークやポールを使うなど、技術や知識を必要とするので、初心者にはあまりおすすめしません。
また、テントと比較すると居住性や快適性も低いので、注意が必要です。
あくまで、キャンプやアウトドアの技術を応用した、災害時の参考としてください。



ブッシュクラフトの講習では、ブルーシートを代用したタープの設営があります。
テント生活でのデメリット


テントをつかった避難生活のデメリットには、天候や季節による問題であったり、トイレや水の確保、防犯面の不安などがあげられます。
体育館や学校、公民館など、屋内で避難生活をするのとは異なり、テント生活は天候や季節による影響を受けやすいことがデメリットにあります。
テントは雨風の影響を受けやすく、夏場や気温の高い季節は熱中症になるリスクもあります。
また、冬や気温の低い季節は、当然ながら寒さによる影響が大きい。


テントを設営する場所にもよりますが、トイレや水の確保に手間が掛かることもデメリットにあります。
避難所であれば仮設トイレや水の支援も受けやすいですが、離れているところでは時間と労力を必要とします。
また、テントやアウトドアでの生活は、防犯面の低さもデメリットにあります。
盗難や災害時を狙った不審者もいますので、注意をしましょう。
ロープワークはアウトドアにも、災害時にも役に立つ。


テントやタープ設営に必要な技術に、ロープワークがあります。
また、ロープワークは災害時においても背負子や応急担架、荷物の運搬、物干し用ロープなどに役立ちます。
一見すると難しそうにみえるロープワークですが、テントやタープの設営で使用する結び方は、いくつも覚える必要がなく、簡単なもので大丈夫です。



ロープワークは基本の3つの結び方を覚えるくらいで、テントやタープ、災害時に役立ちます。
もやい結び


上のイラストは、もやい結び(ボーライン・ノット)です。
もやい結びは、昔からロープワークの王様(キング・オブ・ノット)と称された結び方です。
キャンプではテントやタープ、ハンモックなどを設営する際、ロープやガイロープを固定するのに用いられます。
その際、もやい結びはグロメットやループホール、木、杭などに結ぶことができます。



もやい結びは、ロープワークの基本です。災害時にも救命活動や避難所など、多くのシーンで活躍します。
自在結び


上のイラストは、自在結び(トートライン・ヒッチ)です。
一般的にはテントやタープを設営するときは、自在金具を使ってロープの長さを調節することが多いのではないでしょうか。
ただし、自在結び(トートライン・ヒッチ)は、自在金具がなくてもロープの長さを調節することができる、利便性に優れたロープワークです。



災害時にブルーシートを代用し、タープやシェルターを設営することもあります。このような場合にも、自在結びはロープの長さを自由に調節できるので、重宝されるロープワークです。
本結び


上のイラストは、本結び(リーフ・ノット)です。
本結び(リーフ・ノット)は2本の同じ太さのロープを、連結させるのにおすすめのロープワークです。
そのため、ロープの長さが足りないときに延長することができるので、とても役に立つ結び方です。



本結びは災害時でも平時でも、役に立つロープワークです。簡単な手順で覚えられるので、しっかりと習得しましょう。
ゼロイチキャンプでは、上記で紹介したロープワークをイラストや図解をつかって丁寧に解説しています。
キャンプインストラクターである筆者が教える、ロープワークはアウトドアだけでなく、災害時や平時にも役に立ちます。
解説するロープワークには巻き結びやふた結び、棒結びなど、災害時にもおすすめの結び方もあります。
ぜひ、下の記事を参考に基本のロープワークを習得してください。また、この記事はスマホのお気に入りに保存しておけば、いつでも閲覧できるので便利となっています。
携帯浄水器をつかって、水を手に入れよう。


災害時に人は、1日に3Lの水が必要と言われています。
そのため、最低でも72時間(3日)過ごせるように、1人あたり9Lの水を備蓄しておくとよいでしょう。
しかし、4人家族の場合では、水を36L(3日分)備蓄するとなると、かなりの収納スペースが必要です。
市販されている2Lのペットボトルで計算すると、18本(段ボール3ケース相当)となります。



水は、災害時にとても大切です。飲料水としてはもちろん、トイレや洗い物、食器洗いなど、さまざまなシーンで必要です。



災害時に水を飲むのを我慢すると、エコノミークラス症候群になることがあります。とくに避難所でお年寄りがトイレを我慢したり、車中泊で同じ姿勢を続けたりし、水分不足や血行不良が原因となります。


災害時や緊急時におすすめしたいキャンプ道具が、携帯浄水器です。
上の写真は、筆者の携帯浄水器です。手のひらサイズでとてもコンパクトなことがわかります。
また、携帯浄水器の最大のメリットは、川や湖、池などの水を安全な飲料水にできることです。
携帯浄水器のなかには不衛生な水でも、細菌や微粒子を除去し、飲めるレベルにろ過できます。


上の写真は、川の水をウォーターバッグに汲んだものです。
川の水は濁りがあり、苔や藻なども混じっていて、そのままでは飲めないレベルです。



薄い茶色に、川の水が濁っているのがわかります。写真ではわかりにくいですが、小さな苔や藻なども混じっています。


上の写真は、筆者が携帯浄水器を取付けて、川の水を飲んでいるところ。
先述したように、携帯浄水器は川や沢、湖、池など、自然にある水を安全な飲料水にできます。


上の写真は、別の日に大きな公園にある貯水池の水を、携帯浄水器でろ過したものです。
透明カップの水をみていただくとわかりますが、濁りもなくキレイなことがわかります。
筆者が愛用している携帯浄水器は、バクテリアや水生微生物を99.99999%除去できるろ過力を備えています。
しかも、最大38Lの水を浄水可能で、1日に10L浄水したとしても、100年以上使える計算です。



携帯浄水器は、まさに最強のキャンプ道具。アウトドアにも災害時にもおすすめです。


さらに、携帯浄水器は市販のペットボトルやウォーターバッグと相性抜群なところもメリットにあります。
上の写真のように、市販されているペットボトルの口径は28㎜となっており、多くの携帯浄水器の口径と同じで、取り付けできます。
また、筆者がゼロイチキャンプでも紹介しているウォーターバッグは、軽量でコンパクトな仕様に加え、大量の水を貯えることができます。


ウォーターバッグのなかには携帯浄水器を取付けることが可能であったり、10L以上の大容量のものであったり、100均で購入できたりするなど、とても利便性とコスパに優れます。



自宅にウォータータンクを置くスペースがなかったり、アウトドアにも災害時にも水を使いたい方にウォーターバッグはおすすめです。
下の記事では、軽量でコンパクトに折りたたむことができる”ウォーターバッグ”を特集しています。携帯浄水器とウォーターバッグは相性抜群で、防災対策にもおすすめです。


非常食を作って食べてみよう。


防災用に備蓄できる食品は『防災食』ともよばれ、フリーズドライや缶詰、レトルト食品、カップ麺などがあります。
これらの防災食はキャンプやアウトドアとの相性がよく、災害時にとても重宝します。
フリーズドライやレトルト食品、カップ麺などを食べるときは、水やお湯が必要です。
また、調理するときにはシングルバーナーやクッカー、カトラリーなどがあると便利です。



フリーズドライは水でも戻せますが、お湯で戻すよりも時間が掛かります。それに、水で戻した冷たいものより、温かい食事をいただきたいですよね。


上の写真は、シングルバーナーをつかって、非常食に便利なインスタントラーメンをクッカーで調理しています。
ガスカートリッジを燃料とするシングルバーナーには、CB缶とOD缶とよばれる燃料があります。
どちらのガスカートリッジでも使いやすく、防災時には安心して使えます。


このとき調理につかった水は、上の写真にあるように、公園の貯水池で汲んだ水を携帯浄水器でろ過したものです。
このように、キャンプ道具はほかのギアと組み合わせて使うことで、利便性や快適性、汎用性が向上し、無駄のないキャンプサイクルを生み出すことができます。
また、上手なキャンプサイクルを作るためには、繰り返しになりますが日頃からキャンプやアウトドアを楽しんだり、キャンプ道具を使ったりすることが大切です。


上の写真にあるように、シングルバーナーと今回紹介したOD缶はとてもコンパクトなので、クッカーのなかに収納できます。
このように、クッカーのなかにバーナーヘッドや燃料、カトラリー、小物を収納するテクニックを「スタッキング」といいます。
ほかにも揃いのお皿やシェラカップ、クッカーを重ねることもスタッキングといいます。



スタッキングは道具を入れ子状に重ねてコンパクトに収納したり、クッカーのなかに道具を上手に収納するテクニックのこと。


上の写真は、筆者のマルチツールナイフです。
マルチツールナイフは別名で、アーミーナイフや十徳ナイフともよばれており、複数の機能を備えたナイフのことをいいます。
マルチツールナイフの機能にはナイフのほかにハサミやドライバー、プライヤー、缶切り、スクリューなど、多機能を備えています。


缶切りを備えているマルチツールナイフがあれば、上の写真のようなタイプの缶詰をあけることができます。



マルチツールナイフは災害時に、とても便利です。爪切りやホイッスル、プライヤーなど、災害時に役立つ機能を備えたものもあります。
災害時のトイレに便利なキャンプギアを紹介。


上の写真は、筆者が100均で購入した携帯トイレです。
テントや車中泊で避難生活をする場合は、トイレが近くにないこともあります。
また、自宅で避難生活をする場合にも、水道が止まっていることも往々にしてあります。


このように、災害時のトイレに便利なアイテムが携帯トイレ(簡易トイレ)とスコップです。
筆者は普段のキャンプでもトイレのない野営キャンプをしたりするので、携帯トイレは常に持参しています。
携帯トイレは軽量でコンパクトな仕様なので、防災用としても家族分を備蓄しています。



災害時にとくに困るのが、水が使用できないことによるトイレ問題です。携帯トイレや簡易式トイレは、備蓄しておくことをおすすめします。
アウトドア用スコップ


上の写真は、筆者のアウトドア用の小型スコップです。
スコップはキャンプやアウトドア、災害時にとても役に立つキャンプギアです。
キャンプやアウトドアにスコップがあれば、穴を掘って焚き火をするための土台をつくったり、簡易式のトイレをつくることもできます。


上の写真は、筆者が実際に行った野営サイトです。
キャンプ場の中には、野営サイトとよばれる手つかずの自然で、サバイバル的なキャンプをする区画があります。
野営サイトによっては管理人が常駐していなかったり、水道やトイレがなかったり、人里から距離が離れていたりするなど、過酷な環境下でキャンプを行わなければなりません。


このように、キャンプ場にトイレがない場合には、先ほどの携帯トイレをつかったり、スコップで穴を掘って用を足します。
登山の場合にも山の途中にはトイレがないので、穴を掘って用を足すことがあります。
その際に便利なのが、小型のスコップです。自然界のルールでは、排泄後には土を被せて環境に配慮しなければいけません。



避難生活でスコップを掘って用を足す機会は少ないですが、想像以上のことが起きるのが災害です。もしものために、準備しておくと便利です。
ソーラーパネル・ポータブル電源、モバイルバッテリーを活用する。


携帯できるソーラーパネルやポータブル電源、モバイルバッテリーは、キャンプやアウトドア、災害時にとても重宝します。
自然の中で行うキャンプやアウトドア活動では、電力を確保することが難しい。
そこで、ソーラーパネルやポータブル電源、モバイルバッテリーを予め準備しておけば、スマホやタブレット、LEDランタンを充電したり、季節で使用する冷蔵庫、扇風機、電気毛布、電気カーペットなどを使用したりすることもできます。
また、ソーラーパネルやポータブル電源、モバイルバッテリー、キャンプ道具などはアウトドアだけでなく、災害時や緊急時にも役立ちます。


ソーラーパネルやポータブル電源、モバイルバッテリーは単体で使用するよりも、組み合わせて使うことで電力確保の幅が広がり、より快適に活用できます。
例えば、日中にソーラーパネルで発電し、ポータブル電源やモバイルバッテリーに充電すれば、ライフラインが止まっていたとしても、電力供給を持続化できます。



自家発電しポータブル電源やモバイルバッテリーに充電すれば、長期的な避難生活でも安心です。
ブッシュクラフトは最強のサバイバル力が身につく。


ブッシュクラフトとは、自然環境における”行為と技術、知識”の総称です。
もうすこし平たく説明すると、ブッシュクラフトはサバイバル技術や知恵を応用し、自然や森林環境など、アウトドアで活用することをいいます。
英語でブッシュとは”茂み”のこと、クラフトは”工作”と訳します。ブッシュクラフトは、この2つの単語を掛け合わせた造語になります。
現在では、ブッシュクラフトはキャンプスタイルのひとつとして確立されています。
また、このブッシュクラフトの技術や知恵、行為が防災に役立つと注目されています。
実際に、ブッシュクラフト協会の講習では、災害時に役立つブッシュクラフトを教えているところもあります。



筆者もブッシュクラフトのインストラクター資格を保有しており、災害時に役立つ技術や情報を発信しています。


上の写真は、筆者が拾い集めた木で、フェザースティックをブッシュクラフトしているものです。
ブッシュクラフトはできるかぎり自然にあるものを利用し、衣・食・住に関わる、道具や環境を創作します。


ブッシュクラフトの中心的な道具といえば、ナイフになります。
ナイフを中心に鉈や斧、ノコギリ、水筒、火起こし道具、シェルター、バックパックなど、必要に合わせて準備します。



フェザースティックとは、焚き火の火起こしに使う焚き付け(自然の着火材)のこと。


上の写真は、筆者が野営地で木や薪を拾い集めているものです。
本格的なブッシュクラフトを行う場合、自然に落ちている木や薪を拾ったり、生木を伐採したり、植物のツルを利用しさまざまなものを作ります。


上の写真は、筆者がブッシュクラフト式の火起こしをしているものです。
一般的なキャンプではライターや着火材をつかって火起こしをしますが、ブッシュクラフトでは自然に落ちている枯葉などに、ファイヤースターターとよばれる金属をつかって火起こしをします。


上の写真にあるように、ブッシュクラフト式の火起こしであれば、落ち葉や枯葉、小枝、スギの皮、松ぼっくり、ススキの穂など、都心の公園に落ちている自然素材でも代用できます。



ほかにも、ブッシュクラフトの火起こしでは、火打石をつかって行うこともあります。ものすごく、サバイバル的な火起こしです。


上の写真は、筆者が山のなかにある沢で、水を補給しているものです。
ブッシュクラフトでは、水の補給も自然にあるものを利用します。
先述したように、沢や川、湖など、自然の水を飲むときには携帯浄水器が便利です。


上の写真は、拾い集めた木でポールやペグをブッシュクラフトし、タープで簡易的なシェルターを設営したものです。
このように、ブッシュクラフトの技術と知識は、災害時にも大いに役立ちます。
とくに、総合的なサバイバル能力でいえば、数あるアウトドアのなかでも、ブッシュクラフトがナンバーワンといえるのではないでしょうか。



ゼロイチキャンプでは、筆者が監修するブッシュクラフトの始め方の記事もあります。ぜひ、こちらも参考にしてください。
下の記事では、JBA認定ブッシュクラフターである筆者が監修する『今から始めるブッシュクラフト』を特集しています。ブッシュクラフトの知識や必要な道具、作れるものなど、完全攻略の内容です。


【まとめ】防災士監修キャンプは最強の避難訓練。


今回のゼロイチキャンプは、防災士とキャンプインストラクターの資格をもつ筆者が、防災×キャンプについて解説しました。
昨今では、防災対策としてキャンプやアウトドアが注目されています。
防災に役立つキャンプとは、道具だけでなく、知識や技術も大いに役立ちます。
また、キャンプ道具は持っているだけでは、あまり意味がありません。日頃からキャンプやアウトドアで使用し、災害が起きたときに使える準備をすることが大切です。
解説してきたように、日本は災害の多い国です。
災害が起きる前から避難場所の確認や防災対策を計画したり、確認したり行動したりすることが、なによりも大切です。



ぜひ、この記事を参考にキャンプを防災に役立ててください。
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【防災士監修】キャンプは最強の避難訓練に関連した記事はこちら。



