NCAJキャンプインストラクター/日本ブッシュクラフト協会 認定ブッシュクラフター/防災士など、アウトドアと防災の専門資格をもつ ゼロイチキャンプです。この記事は、筆者が監修し執筆まですべて行っています。
寝袋とはキャンプや登山、アウトドアでつかわれる”袋状の携帯用寝具”のことである。
また、防災用の観点からみても寝袋は優秀で、災害時や避難生活において欠かすことのできないキャンプ道具といえるだろう。
寝袋は別名で『シュラフ』ともよばれ、ドイツ語のシュラフザックが起源といわれている。ちなみに、英語では『スリーピングバッグ』とよぶ。
ゼロイチキャンプ寝袋のことをシュラフとよんだり、スリーピングバッグとよんだりするが、同じ意味である。


寝袋・シュラフはソロキャンプやアウトドアを行う上で、睡眠の質に関わるほど重要なキャンプギアである。
そのため、快適なソロキャンプを過ごすことができるかどうかは、寝袋次第といっても過言ではない。
たとえば、寝袋に関する知識がないまま適当に購入してしまうと、外気温や自分の体温とあわず、暑かったり寒かったり、さらには身長に合わなかったりするなど、寝袋選びに失敗することになる。
一方で、外気温や体温、自分の身長や体型に合った、適切な寝袋を選ぶことができれば、ソロキャンプはさらに快適で充実し、より楽しめるものになるだろう。
ソロキャンプでは、寝袋・シュラフを選ぶことは、テント選びと同じくらい重要なことです。


ソロキャンプ用の寝袋を選ぶときには、封筒型・マミー型とよばれる形状をはじめ、中綿素材、適正温度、サイズなど、いくつか大切なポイントがあるのだ。
さらに、季節やキャンプスタイル、移動手段にあわせた最適な寝袋・シュラフを選ぶことが大事である。
そこで、今回のゼロイチキャンプはソロキャンプに超重要なアイテムである『寝袋・シュラフ』について、キャンプインストラクター×防災士である筆者が、詳しく解説する。
この記事を読んでわかること。役立つ情報とは。
- 自分に合った最適な寝袋・シュラフを選べるようになる。
- 寝袋・シュラフについて、大切な知識を覚えることができる。
- ダウン素材と化繊素材の寝袋の違いを徹底解説する。
- 寝袋にも、メリット・デメリットがあること詳しく解説。
- シーズンにあった寝袋・シュラフの選び方を紹介する。
- 記事の最後には、寝袋の洗濯・保管方法について解説があります。
下の記事では、キャンプインストラクターがやさしいソロキャンプの始め方を解説しています。基本道具やソロキャンプのマナーなど、完全攻略の内容となっています。


ソロキャンプ向け、失敗しない寝袋を選ぶ方法をプロ解説。


ソロキャンプで使う寝袋を選ぶときは形状や中綿素材、使用温度域、サイズについて理解する必要がある。さらに、その知識を応用して、季節や目的地の気温、キャンプスタイルに合わせて選ぶことが重要となる。
先に述べたように、寝袋には封筒型とマミー型とよばれる形状があり、ダウンや化繊といった中綿素材がある。
また、寝袋ごとに適正温度が異なるため、季節や外気温に合わせて選択する必要があるのだ。
さらに、ソロキャンプでは徒歩や電車など、公共交通機関を利用したり、自転車やバイクなどツーリングでキャンプ場へ行く方もいる。
このように、車以外の方法でキャンプ場へ向かうキャンプスタイルの方は、持ち運べる荷物量に制限があるため、寝袋の軽量性や携行性も選ぶときのポイントとなるだろう。
寝袋は形状や中綿素材によって、寝心地やフィット感など、快適性も大きく異なります。



寝袋は、非常に奥が深いキャンプ道具である。1つあれば十分ということはなく、気温や季節にあわせて準備しなければならない。
ソロキャンプに必要な寝袋(シュラフ)の選びかたとは。
- 寝袋(シュラフ)の形状とは。封筒型とマミー型について。
- 寝袋の素材、化繊とダウンの違いについて。
- 季節や気温にあわせた、寝袋を選ぶ必要性がある。
- 寝袋を選ぶときには「快適使用温度」と「限界使用温度」を確認する。
- 寝袋を選ぶときには、サイズの確認が必要です。
寝袋(シュラフ)の形状とは。封筒型とマミー型について。


一般的に寝袋(シュラフ)の形状には、「封筒型」と「マミー型」とよばれるものがある。
封筒型とマミー型の寝袋では形状が大きく異なり、さらに使い方をはじめ寝心地、保温性、フィット感などにも違いがある。
とくに、封筒型とマミー型では使用する季節や気温が異なることがある。これについては、これから詳しく解説するが、この理由には封筒型とマミー型それぞれの形状が関係する。
寝袋の形状である封筒型とマミー型を理解することで、季節や気温に合わせた使い方をできるようになります。
寝袋・シュラフの種類とは。
- 封筒型
- マミー型
下の記事では、ソロキャンプ向けの軽量でコンパクトなキャンプマットを特集しています。人気のインフレーターマットやエアーマット、クローズドセルマットまで完全攻略となる。
封筒型の寝袋について、キャンプインストラクターがプロ解説。


封筒型(レクタングラー型)の寝袋は、長方形の形状が特徴的で、上から足元まで均一の幅になっている。自宅の布団のように寝返りをうてたり、ゆったりと寝ることができる。
封筒型の寝袋の特徴は、寝返りをうてるスペースが寝袋内にあることである。
そのため、体にまとわりつくような寝袋の圧迫感を感じることがなく、まるで自宅の布団で寝ているような感覚で眠ることができるのだ。
封筒型の寝袋は肩口から足元にかけて、ゆったりと内部スペースがあるため、寝袋の内側に溜まりやすい暖気を外へ放出できる。
とくに、ハイシーズンの夏であったり、気温が高く湿気の多い季節には空気循環を良くし、快適に寝ることができる。さらに、寝袋によってはファスナーを全開に開け、かけ布団のように使うこともできたり、連結したりできるなど、機能的な製品もある。
また、封筒型の寝袋の中綿素材には”化繊”が使われることが多く、コスパに優れていることも魅力にある。
自然由来の羽毛素材であるダウンは高価だが、ポリエステルが主素材である化繊は、価格を抑えて作ることができる。これが、封筒型の寝袋がコスパに優れる大きな理由である。



多くの化繊タイプの寝袋は、洗濯機で丸洗いができる。汗をかきやすく、汚れやすい夏場にはぴったりの仕様だ。


封筒型の寝袋のデメリットはマミー型と比較すると、保温性が低いことがあげられる。
肩口から足元まで、ゆったりとした内部スペースのある封筒型の寝袋は、通気性・快適性に優れる形状であるが、一方で、保温性を維持することが難しい。
夏場や気温の高い季節では、涼しく快適性に過ごすことができるが、封筒型の寝袋を冬や春先など、気温の低い季節に使ってみるとよくわかるが、非常に寒さを感じやすいことがある。



ただし、先に述べたように封筒型とマミー型に形状が分かれていることは、使用する季節や気温によって適切に選べるためである。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 快適性や通気性に優れている。 寝返りをうったり、家の布団の感覚で使うことができる。 コスパにうれしい価格となっている。 寒い季節には、アウターシュラフとして使うことができる。 | 保温性はマミー型に劣る。 |
マミー型の寝袋について、キャンプインストラクターがプロ解説。


マミー型の寝袋はその独特の見た目から、ミイラを意味する『Mummy』から名付けられたと言われている。
マミー型の寝袋は、頭から足先まで体にフィットする形状で、寝袋内に溜まった暖気を外へ逃がさない構造となっている。そのため、保温性に優れることが大きな特徴にある。
マミー型の寝袋の使い方は、頭は帽子のようにすっぽりとかぶり、首元までジッパーをしめて、顔だけ出すようにして寝るのだ。
この人体の構造に沿った独特の形状によって、安定感のある保温性を維持するのだ。とくに、マミー型の寝袋は冬や春先など、気温の低いソロキャンプで活躍する。



ダウン素材をつかったマミー型の寝袋は、軽量でコンパクトに収納できるため、ULキャンプや荷物を減らしたいかたにもオススメ。


マミー型の寝袋のデメリットには、寝ているときに窮屈感を感じたり、温度調整が難しいことがあげられる。
先述したように、マミー型の寝袋は人体のラインに沿った形状となっているため、人によっては寝ているときに窮屈感や圧迫感を感じたりする方もいる。
また、マミー型の寝袋は頭から足先までをすっぽりと覆い、ジッパーも限られた範囲しか開かないため、温度調節が難しいこともデメリットにあげられる。
しかし、先に述べたように封筒型とマミー型で形状が分かれていることは、使用する季節や外気温によって、適切に選べるようになっているからということを理解しよう。



筆者のように、マミー型の寝袋のほうが寝心地が良く感じる方もいる。寝心地に関しては、人によって分かれる。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 保温性に優れている。 人体に沿った形状で、フィット感に優れる。そのため、保温性を維持できる。 冬用から3シーズンモデルまで、豊富な製品がある。 一年を通して使うことができるため、汎用性が高い。 | 保温性は高いが、温度調整は難しい。 体にフィットする仕様で、人によっては窮屈感・圧迫感を感じることがある。 真夏や夏場では、保温性が高いため使いづらいことがある。 |
寝袋の中綿素材である、化繊とダウンの違いについて解説。


一般的に寝袋・シュラフの中綿には、化繊(化学繊維)とダウンが使われている。
ダウンと化繊では保温性や耐久性、耐水性、携行性、重量、さらにはコストパフォーマンスに至るまで、多くの違いがある。
先に述べた寝袋の形状(封筒型・マミー型)も選ぶときの大切なポイントだが、それと同じくらい中綿の素材選びも重要である。
寝袋の中綿につかわれる素材の特徴を知ることで、季節や気温、キャンプスタイル、移動手段など、キャンプの目的にあわせた選び方ができるようになる。
つぎに、寝袋の中綿素材である化繊とダウンについて解説しながら、メリット・デメリットもまとめています。
ダウン素材の寝袋とは。メリット・デメリットを解説。


ダウンとは水鳥の胸部あたりに生えている、羽軸を持たないフワフワした綿羽(めんう)のことである。
ダウン素材の寝袋といっても、100%ダウン(綿羽)のみで作られているものは基本的にないだろう。
一般的にはダウンと羽毛(フェザー)の混合であったり、ダウンと中綿(化繊)の混合であったりするなど、ダウンとほかの素材を混ぜ合わせて中綿としている。
ちなみに、羽毛(フェザー)とは、水鳥の羽のあたりにある羽軸(うじく)を持つ、体羽(たいう)のことをいう。
この理由には、完全にダウン(綿羽)だけを分離するのは難しく、羽毛(フェザー)が残ることが関係する。
また、ダウンだけにする作業は、膨大な時間とコストを必要とし、製品単価が跳ね上がってしまうデメリットがある。


ダウン素材の寝袋の詳細をチェックすると「ダウン90%・フェザー10%」「ダウン80%・フェザー20%」、「ダウン70%・フェザー30%」のように、寝袋ごとに数値が異なっているのだ。
ダウンは羽軸がなく、とても軽いのが特徴にある。小さな羽毛一つひとつが空気をたっぷり含むため、保温性に優れており、ダウンの割合が多い寝袋ほど軽くて暖かいのだ。
一方で、フェザーは羽軸とよばれる硬い羽付きの羽毛で、寝袋全体の形を整えたり、通気性を向上したりする素材である。
そのため、ダウンの比率が高くなると、体温を維持できるので暖かいが、一方で熱を逃がしにくく湿気が溜まりやすいとも言えるのだ。
フェザーは寝袋内部に溜まった湿気を効率的に外に逃がし、通気性・快適性を促す役割をもつ。
- ダウン90% / フェザー10% … 高品質モデル(ハイパフォーマンス寝袋・高級ダウンジャケットなど、しかし価格がとても高い)
- ダウン80% / フェザー20% … 中級モデル、性能と価格のバランスが良い
- ダウン70% / フェザー30% … エントリーモデル、コスパ重視の方におすすめしたい



ダウン混合率(ダウン比率) とよばれ、ダウンの数値が高いほど 軽量で保温性が高く、コンパクトに収納できる。
下の記事では、ポータブル電源で有名なブランド『PowerArQ』の電熱ベストを完全レビューしています。電熱ベストは、寝袋との相性抜群です。
ダウン素材の寝袋は“FPフィルパワー”を確認しよう。


ダウン素材の寝袋やジャケットには、FP(フィルパワー)とよばれる数値がある。この、FP(フィルパワー)の数値が高いほど、保温性や軽量性に優れる良質なダウン素材であるのだ。
フィルパワー(FP)とは、ダウンのかさ高性を示す数値で、同じ重さのダウンがどれだけ膨らむかを表す指標である。
数値が高いほど多くの空気を含み、少量でも優れた保温力を発揮する。
一般的には、550FP(フィルパワー)以上あれば、良質なダウンといわれている。
700〜800FP以上が高品質ダウンで、900FP以上は最高級ダウンとされる。なかには、1000FP以上の超高品質ダウンもあるのだ。



ただし、フィルパワーの数値が高いほど、暖かい寝袋だから安心ということではない。ひとつ注意があるのだ。
高FP(フィルパワー)の注意点について解説


先述したように、FP(フィルパワー)の数値が高いほど、軽量で保温性に優れるダウン素材である。
しかし、ダウン製品の暖かさを決めるもうひとつ大事な要素に、ダウンの使用量がある。
たとえば、高品質ダウンである1000FP(フィルパワー)の寝袋であっても、使われているダウンの量が少なければ、保温性はそこまで高くないのである。
その反対に、低品質ダウンであったとしても、2倍・3倍と多くのダウンを使っていれば、高フィルパワーのダウンより保温力は高くなるのだ。
たしかに、高品質ダウンを使用した寝袋は、軽量で暖かくて最高の使い心地である。しかし、寝袋を選ぶときにはFP(フィルパワー)にあわせて、どれくらいのダウン量が使われているかにも着目してみよう。
良質ダウン(FP500〜600クラス)ダウン量の目安
- 1kg前後 … 夏山、3シーズン(春〜秋)のキャンプに対応。
- 1.5kg〜2kg … 冬キャンプ、春先の低気温下にも耐えやすい。
高品質ダウン(FP900〜1000クラス)ダウン量の目安
- 200〜300g程度 … 夏用や山小屋泊レベル。保温性はそこまで高くない。
- 400〜600g程度 … 3シーズン(春〜秋)のキャンプに対応。
- 700g以上 … 冬キャンプ、春先の低気温下にも耐えやすい。
ダウン素材の寝袋・シュラフのデメリットを解説。


ダウン素材の寝袋のデメリットには、水や湿気に弱いことがあげられる。
たとえば、大雨が降ったり結露によってダウン素材が濡れたりすると、保温性は急激に低下してしまうことがある。
この理由には、先述したようにダウンはフワフワした綿羽なので、乾いているときは空気の層にたっぷりと暖かい空気を溜めることができるが、水や湿気で濡れると綿羽同士がくっついてしまうため、空気の層を維持することができず、結果的に保温性が低下してしまうのだ。
このように、ダウン素材を雨や結露から守るための対策として、シュラフカバーを使うことで保温性の低下を軽減できる。
結露は、外気温と室内温度の差によって起こります。とくに、寒い季節や冬のキャンプは外気温とテント室内の気温差によって、結露が起こりやすいです。
化繊タイプの寝袋とは。メリット・デメリットを解説。


一般的に化繊(化学繊維)素材の寝袋には、ポリエステルが使われていることが多い。ポリエステルの特徴は、耐久性・耐水性が高いことがあげられる。
寝袋の中綿素材に化繊を使用するメリットには、水や結露で濡れたとしても、保温性が下がらないことである。
先に述べたダウン素材の場合、雨や結露で濡れてしまうと、急激に保温性が下がることを解説した。しかし、化繊タイプの寝袋は素材にポリエステルを使用しているので、水に濡れても保温性が下がることはほとんどない。
ただし、これは中綿素材が化繊100%の寝袋のときに有効である。
たとえば、寝袋の中綿にダウン70%・化繊30%の製品の場合では、ダウン素材が使わてれいるので、保温性は落ちるだろう。それでも、ダウンとフェザーの混合タイプと比較すると、ハイブリッドタイプ(ダウン・化繊)であるため、保温性はそこまで落ちないと考えられる。
- 化繊100% … 耐久性・耐水性・コスパに優れる。同じ保温力ならダウンより重く、かさばる
- ダウン70% / 化繊30% … 羽毛+化繊のハイブリッド、保温性に耐久性、耐水性も併せもつ


また、化繊タイプの寝袋のもうひとつのメリットには、コスパに優れる魅力的な価格がある。
化繊とダウンを比較すると、圧倒的にコスパに優れる魅力がある。化繊は人工的に作ることができる繊維なので、大量生産が可能なため、製品価格を抑えることができる。
そのため、コスパ重視で寝袋・シュラフを探している方には、化繊タイプがおすすめである。
なかでも、キャンプ場へ行くときに、車で向かう方には最適です。
ただし、気をつけたいのは、徒歩や電車など、公共交通機関を利用したり、自転車やバイクの方は注意が必要である。その、理由をつぎの「化繊タイプの寝袋のデメリット」で詳しく解説する。
化繊タイプの寝袋には、家庭用の洗濯機で“丸洗いできる”製品もあります。汚れや汗のニオイが気になる方は、丸洗いできる化繊タイプの寝袋がおすすめです。
化繊素材の寝袋・シュラフのデメリットを解説。


化繊素材の寝袋のデメリットには、重量があるため携行性が下がることがあげられる。
化繊とダウンを比較すると、圧倒的に化繊タイプの寝袋は重量がある。
とくに、冬用・3シーズン用の化繊タイプの寝袋では、保温力を上げるために中綿素材を大量に使わなければならない。
結果的に、保温性に優れるダウン素材と同じ快適温度を維持する場合、化繊は多くの中綿を使用しなければならず、重量であったり、収納サイズが大きくなってしまうのだ。
そのため、車以外の方法でキャンプ場へ向かう方は、化繊タイプの寝袋を選ぶ際に、重量や収納サイズに注意しなければならない。



最近ではテクノロジーの進化もあって、軽量で保温性に優れた化繊も登場している。なかでも、ダウンに劣らない保温性能を備えた寝袋もあるので、化繊好きはチェックしてみよう。
下の記事では、ソロキャンプのタープ泊におすすめの”DDタープ”を特集しています。DDタープの張り方まで、完全網羅となっています。
寝袋を選ぶときは、サイズの確認をしよう。


一般的に寝袋・シュラフには、男性用としてショート・レギュラー・ロングサイズとよばれる3種類があり、さらに、女性に合わせた、女性向け(Woman)のサイズ展開がある。
寝袋・シュラフを選ぶときには、自分の身長にあった最適なサイズを選ぶことが重要である。
寝袋のサイズが大きすぎると、保温性が下がり重量が大きくなる原因になることがある。一方で、寝袋のサイズが小さすぎても寝心地が悪く、ジッパーを開けたりするため、逆に保温性を下げてしまう原因になることがある。
では、どのくらいの余裕があればいいかというと、一般的には身長に対して5㎝~10㎝大きいくらいがベストと言われている。
身長は直立した状態で計測した数値になるため気づきにくいが、寝るときはリラックスした状態となるため、足首や足先の力が抜け、つま先が自然と伸びる。さらに、人によっては寝返りを打ったりするので、寝袋内に適度なスペースがある方が寝心地が良いのである。
寝袋内にすこし余裕があることで、保温性を維持できる効果もあります。
寝袋・シュラフのサイズの目安について。
- ショートサイズ・・・身長165cmまで
- レギュラーサイズ・・・身長180cmまで
- ロングサイズ・・・身長195cmまで
下の記事では、ソロキャンプ向けのバックパックを特集しています。人気のミリタリーバッグからULバックパックまで、充実した内容となります。
寝袋を選ぶときは「快適使用温度」と「限界使用温度」を確認する。


寝袋・シュラフには“快適使用温度”と“限界使用温度”とよばれる指標があり、これらは寝袋を使用するときの、外気温の目安になっている。
ソロキャンプやアウトドア向けに寝袋・シュラフを選ぶ際、この快適使用温度と限界使用温度は、とても大切なポイントである。
というのも、これまで解説してきた寝袋の形状であったり中綿の素材は、どちらかと言えば使い心地や機能性に関わることである。
しかし、これから解説する「快適使用温度」「限界使用温度」は、キャンプやアウトドアを行う際の外気温に対して選ぶ指標となるため、より実践的で重要なポイントであるのだ。
快適使用温度と限界使用温度を確認せずに寝袋を購入してしまうと、実際のキャンプで暑かったり寒かったりして、眠ることができないことになる。
- 快適使用温度(Comfort)とは、一般的な成人がリラックスした状態で、寒さを感じず快適に眠ることができる温度目安のこと。
- 限界使用温度(Limit)とは、寝袋と防寒対策を最大限活用した状態で、寒さに耐えながらなんとか眠れる最低気温の目安のこと。
寝袋を選ぶときは『快適使用温度』を目安にする。


寝袋・シュラフを選ぶときは『快適使用温度』を目安にし、実際にキャンプやアウトドアを行う、ロケーションの外気温に合わせることがポイントである。
先に解説したとおり、快適使用温度とは「一般的な成人がリラックスした状態で、寒さを感じず快適に眠ることができる温度目安」となっているため、実際にキャンプやアウトドアを行う場所(当日)の外気温と寝袋の快適使用温度の誤差が少ないほど、快適な睡眠をとることができるのだ。
また、多くの方が間違ってしまうのが「限界使用温度」に合わせて寝袋を選んでしまうことである。
限界使用温度はあくまで最大限の防寒対策をした上で、どうにか寒さに耐えることができる限界の温度目安である。したがって、限界温度を目安に寝袋を購入してしまうと、とくに冬キャンプや春先の気温の低い季節では、寒さを感じて眠れないことになるのだ。



実際に、筆者も登山を始めたばかりのころ、限界使用温度を目安に寝袋を購入して、冬山で一睡もできなかった経験がある。それほどに、快適使用温度と限界使用温度は大切なポイントである。
下の記事では、ソロキャンプ向け焚き火におすすめのソロテントを特集しています。テント生地にコットンやTC素材を使っているので、快適性や耐久性、保温性に優れる。
快適使用温度に対して『記載されている温度ー5℃がおすすめ。』


寝袋・シュラフの保温力(暖かさ)は、個人差がとても大きい。同じ寝袋であっても、人によっては寒かったり暑かったり、快適であったりするなど、感じ方が異なることがある。
夏場や気温の高い季節では、寒さを感じることはそこまでないが、冬や春先など気温の低い季節であったり環境下では、寒さを感じやすい。
そのため、気温の低い季節や環境下では、もっと保温性に対してシビアに考えることが大切だ。
そこで、キャンプやアウトドアで寝るときに、寒さからの心配を少しでも和らげるおすすめの方法がある。
それは、寝袋・シュラフを購入する際に、目的地(キャンプ場)の外気温よりも、快適使用温度をマイナス5℃を選ぶことである。


たとえば、目的地であるキャンプ場の最低気温が5度だと仮定する。
本来であれば、寝袋・シュラフを購入する際、快適使用温度は5度を選ぶことが一般的になる。しかし、ここで寒さが苦手な方は、快適使用温度マイナス5℃である「0℃」を選ぶとよい。
先述したように、寝袋・シュラフの快適使用温度とは、とても主観的な指標で人それぞれ寒さの感じ方は異なる。
また、キャンプやアウトドアでは外気温だけでなく、風や地面からの冷気によっても寒さを感じることがあるため、寝袋の温度域を上げたり、防寒対策をすることが重要である。



ソロキャンプは自宅の暖かい布団やベッドではなく、厳しい自然のなかで寝なければならない。寒くて寝れない夜は、体力的にも気分的にもとてもつらい。
下の記事では、冬や低気温下に便利なソロキャンプ向けの薪ストーブを特集しています。冬の薪ストーブは温かく、快適なソロキャンプを演出する。
【おすすめ】寝袋・シュラフは季節(シーズン)ごとのモデル展開がある。


一般的に寝袋・シュラフは、季節(シーズン)ごとにあわせて快適に使用できるように、メーカーから「夏用」「3シーズン用」「冬用」と分けられて販売されている。
寝袋・シュラフをお店やオンラインショッピングで探していると「夏用」「3シーズン用」「冬用」と表記されていることがある。
これらの「夏用・3シーズン用・冬用」というカテゴリー分けは、国際的な規格で厳密に定義されたものではなく、アウトドアメーカーがユーザー(消費者)に向けて、わかりやすいように分けているのである。
はじめに解説したように、寝袋・シュラフは1つだけあればいいということではなく、アウトドアを行う季節や気温に合わせて、いくつかのタイプを準備しなければならない。
たとえば、夏用の寝袋・シュラフでは、冬や気温の低い環境下では十分な保温力を確保できず、寒く冷たい夜を過ごすことになるだろう。
一方で、冬用の寝袋・シュラフで夏場の気温の高い環境下で使用すると、暑くて寝苦しい夜を過ごすことになる。
このように、日本には四季があるため、季節や気温に合わせて寝袋・シュラフを失敗せず簡単に購入できるようになっているのだ。
なかでも、寝袋・シュラフはこれまでに解説してきたように、形状や中綿素材、温度域など、キャンプ初心者には購入するために知識を必要とする。


ただし、すべての寝袋・シュラフにカテゴリー分けがされているわけではない。とくに、上の写真にあるように、海外メーカーの製品には注意が必要だ。
もし、購入したいと思っている寝袋・シュラフにカテゴリー分けがない場合は、先の項で解説した「快適使用温度」を下記の表にある、外気温の目安に照らし合わせて選ぶといいだろう。
寝袋(シュラフ)を選ぶときのポイントは“快適使用温度”をチェック。
- 夏用を選ぶときは、快適使用温度5℃~10℃を目安とする。
- 3シーズン用(春~夏)を選ぶときは、快適使用温度-5℃~5℃を目安とする。
- 冬用を選ぶときは、快適使用温度-5℃以下を目安とする。
夏用の寝袋について解説。


夏用の寝袋とは、名前にあるとおり夏場や気温の高い季節に最適なモデルのことをいう。
夏用の寝袋・シュラフを選ぶときは、快適使用温度5℃~10℃くらいを目安にするとよい。
夏用の寝袋・シュラフは封筒型が主流で、中綿に化繊素材が採用されることがほとんどである。
夏場は気温が高いので、保温性の高いダウン素材よりも、化繊素材の方が快適に過ごすことができることが理由にある。
また、封筒型の寝袋は内部にスペースがあるため通気性に優れたり、温度調節ができたりすることもメリットにあるだろう。



化繊タイプの寝袋には、家庭用の洗濯機を使って”丸洗い”できる製品がある。汗をかきやすい季節にはうれしい。
下の記事では、ソロキャンプ向けの夏用の寝袋・シュラフを特集しています。コスパに優れた夏用の寝袋は、まさにサマーシーズンにおすすめ。


3シーズン用の寝袋を解説。


一般的に、春から秋にかけて使うことができる寝袋を3シーズン用という。
3シーズン用の寝袋・シュラフを選ぶときは、快適使用温度-5℃~ 5℃を目安にするとよい。
3シーズン用の寝袋・シュラフは春・夏・秋と3シーズンに使用できるため、最も汎用性に優れる特徴がある。
そのため、ソロキャンプやアウトドアをするのであれば、まずは3シーズン用の寝袋・シュラフを準備したいところである。
ただし、3シーズン用の寝袋・シュラフといっても、封筒型やマミー型の形状があったり、中綿の素材にはダウンも化繊もあったりするなど、とても幅が広いのだ。
そのため、3シーズン用の寝袋・シュラフを選ぶときには、キャンプスタイルや移動手段、荷物量、さらには温度域に合わせた選択が必要となる。
3シーズン用の寝袋は春・夏・秋と使うことができる、最も汎用性に優れていることが魅力にあります。
下の記事では、ソロキャンプ向けの3シーズン用(春・夏・秋)の寝袋・シュラフを特集しています。


冬用の寝袋とは。保温性を大切にする。


冬用の寝袋とは、その名のとおりで気温の低い冬であったり、低気温下に使われるタイプのことをいう。
冬用の寝袋・シュラフを選ぶときは、、快適使用温度ー5℃以下を目安にするとよい。
ただし、お住まいの地域や標高、天候など、ソロキャンプを行う環境によって外気温は異なるため、その環境下に合った適切な”温度域の寝袋”を選ぶことが重要である。
冬用の寝袋・シュラフはマミー型が主流で、中綿素材はダウンも化繊もそれぞれある。
中綿素材の項で詳しいことは解説したが、軽量で保温性の高いダウンを選ぶ場合はFP(フィルパワー)の高い製品がおすすめである。しかし、FP(フィルパワー)が高いだけでは暖かいとは限らない。その寝袋に、ダウンがどのくらい使われているかが重要である。


同じく化繊タイプの冬用の寝袋も同じで、保温性の高い製品には中綿が多く使われている。
ただし、化繊はダウンよりも重量があるため、中綿を使用するほどそれに比例して重量も上がる。
冬用の化繊タイプの寝袋・シュラフのなかには、重量が2㎏以上ある製品もある。そのため、徒歩や電車、自転車、バイクなど、車以外の方法でキャンプ場へ行く方は、携行性を気にする必要があるのだ。



防寒対策としてダウンジャケットやダウンパンツ、ダウンソックス、冬用のキャンプマット、湯たんぽ、電気毛布など、防寒対策を取り入れることで、寝袋の快適性や保温性は向上する。
【初心者向け】寝袋の洗濯と保管方法について。


寝袋・シュラフの機能性を維持するためにも、汚れが酷く臭いがある場合には、洗濯を行うことが大切である。また、寝袋の保管にも適切な方法があるので解説したい。
ソロキャンプやアウトドアで寝袋を使用すると、汗や皮脂がべっとりと付着し染みこんでいる。
そのままの状態で使い続けたり放置したりすると、カビが発生し臭いの原因になることがある。
とくに、気温の高い夏場や梅雨時期には、汗をかきやすいので注意が必要である。
また、冬は気温が低いからと言って安心はできない。人は寝ているときに、1晩にコップ1杯分(約200ml前後)の水分を汗や呼気で失うと言われている。さらに、冬の寝袋内は熱がこもりやすく、汗をかきやすい環境でもある。
そのため、寝袋・シュラフは汚れたり汗をかいたりしたら、定期的に洗濯することが大切なのである。



寝袋の汚れやニオイがひどく、保管状況が悪いと虫や害虫に穴をあけられてしまうことがある。そうなると、保温性や機能性を失うこともある。
寝袋の使用後は、しっかりと干して乾燥させることが大切である。


寝袋・シュラフの使用後は、カビや不快な臭いを防ぐためにも、しっかりと干して乾燥させることが大切である。
寝袋を干して乾燥させるときは、2通りの方法がある。
まずは、キャンプやアウトドアの使用後にキャンプ場で行う簡易的な方法と、自宅で保管する前に行う方法がある。
一晩使用した後の寝袋・シュラフは、とても多くの湿気を吸っている。また、テント内に結露が発生していた場合は、より多くの水分や湿気を吸っていることがある。
まずは、キャンプ場で寝袋に軽く日光にあてたり陰干ししたりすることで、湿気や水分を除き、臭いを抑えることができる。



兎にも角にも、使用後の寝袋・シュラフは乾燥させることが大切なのである。


自宅で寝袋・シュラフを干すときは、風通しの良い場所で陰干しでおこなう。
寝袋・シュラフの生地表面には、撥水加工や防カビ加工などが施されていることがある。
そのため、直射日光で乾燥させてしまうと、寝袋の生地を傷めたり表面加工を落としたりするなど、寝袋を劣化させる原因になってしまうのだ。
冬でも、しっかりと陰干しで乾燥させてください。冬でも汗は大量にかいてますからね。寝袋は湿気・水分をとることが大事です。
寝袋は、定期的に洗濯をする必要がある。


個人差があるので一概には言えませんが、寝袋は30泊~50泊したら洗濯をするのが望ましいと、一般的にいわれている。
上記の数字はあくまで目安となっているので、汚れや臭いがひどかったり、寝袋のへたりを感じたりしたときは、積極的に洗濯をしよう。
寝袋・シュラフの洗濯方法は、中綿素材(ダウンや化繊)によって異なる。
まずは、自分の寝袋・シュラフに記載されている洗濯表示を確認し、適切な方法で行うことが大切である。洗濯方法には、洗濯機や手洗い、洗剤の有無など、製品ごとに異なるのでしっかりと確認する。
化繊(ポリエステル)の場合は、洗濯機で丸洗いができるかを確認し、問題ないようであれば洗濯機を使用する。
洗濯機で丸洗いがダメな場合は、手間は掛かるが手洗いで洗濯しよう。



化繊タイプの寝袋のなかは、家庭用の洗剤を使えたり乾燥機にかけたりできるものがある。


ダウン素材の寝袋・シュラフの場合、ダウン用の専用洗剤をつかい手洗いすることをおすすめする。
この理由には、ダウン素材の寝袋・シュラフを洗濯機で洗ってしまうと、中綿が偏る原因になることがある。中綿(ダウン)が偏ると、保温性が低下したり寝心地が悪くなったりしてしまう。
そのため、ダウン素材の寝袋の洗濯表示に、洗濯機で丸洗いができると記載があったとしても、手洗いをすることで、中綿(ダウン)の偏りを防ぎ、生地へのダメージを軽減できるのである。
ダウン素材の寝袋やジャケットを、クリーニングできる専門業者もあります。汚れやニオイ、手間を省きたい方にはおすすめです。
【初心者向け】寝袋の適切な保管方法を解説。


寝袋・シュラフは直射日光を避け、通気性の良い場所に保管することが大切である。
先に述べたように、寝袋・シュラフは直射日光に当ててしまうと、生地を傷めたり防水・防カビ加工などの寿命を縮める原因になることがある。
そのため、寝袋・シュラフを保管するときは日差しを避け、できるだけ風通しの良い場所に保管することが大切である。
また、寝袋・シュラフをしばらく使用する予定がない場合、上の写真にあるように、通気性の良い大きめの収納袋に入れると良いだろう。
この理由には、通気性が良く大きい収納袋に入れて保管すると、中綿の偏りや型くずれ、ふくらみが落ちる(ロフトダウン)のを軽減できるからである。
ダウン素材の寝袋は収納する前に、中綿の偏りがないように全体を軽く叩いてから収納すると長く使用できます。
コンプレッションバッグを使うと、とてもコンパクトに寝袋を収納できます。しかし、コンプレッションバッグで長期保管してしまうと、中綿の片寄りや型くずれ、ふくらみが落ちる原因になることがあります。コンプレッションバッグは、キャンプやアウトドアへ行く際に、コンパクトに収納する目的で使うことをおすすめします。
まとめ


ソロキャンプ向けの寝袋・シュラフの失敗しない選び方を、キャンプインストラクターである筆者が、詳しく解説した。
寝袋・シュラフは形状や中綿素材、温度域、季節ごとに最適なモデルであったりするなど、数あるキャンプ道具のなかでも、多くの知識量を必要とする。
そのため、寝袋・シュラフを正しく選ぶには、なかなかハードルが高いことも事実にある。
しかし、自分のキャンプスタイルや移動手段、さらにはキャンプを行う気温に合わせた、適切な寝袋・シュラフを選ぶことができれば、ソロキャンプはさらに充実し楽しいものになるのだ。
ぜひ、この記事を参考にソロキャンプ向けの寝袋・シュラフを選んでいただけると嬉しいです。
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